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坂根美季の おしえて!!
Vol.2 MIDORIさん
(NIKEランニングアドバイザー)
テーマ ランニングについて
~ランニングを好きでいることの大前提は自分を好きでいてあげること~
坂根(以下坂) MIDORIさんこんにちは。9月に入り、過ごしやすい季節になってきましたね。そろそろランニングをはじめてみようかと思っているのですが最初の一歩がなかなか踏み出せなくて。私みたいな方、結構いらっしゃると思うんです。今日はそのきっかけを作りたくて、色々お話を伺ければ幸いです。宜しくお願いします。まず、はじめるにあたり、どんな準備が必要なのでしょうか?
MIDORIさん(以下M) そうですね。まずは、1.デビュー日を決める 2.着替えて靴を履く 3.外に出る…ことからでしょうか。
坂 ごもっともです(笑)。でもまだ何となく踏み出せない自分がいます。走ったら苦しいんだよなぁとか。疲れるんだよなぁとか。そんなことを思っているうち、いつの間にか月日が流れているのが現状です。
M その気持ちはよく分かります。でもランニングは本来苦しくないもの。よく、ランニングとマラソンを同じに考えてしまったりする人も多いのですが…。
坂根 苦しくないもの、なんですか?とても意外な答えです。そしてランニングとマラソン、別のものというとらえ方は今までしてきませんでした。
M 全くの別のもの、ですね。ランニングはただの動作。本来は時間も決まってなければ距離も決まっていない。時間、距離、ペースともに、全部フリースタイル。自分が気持ちいいと感じた分だけやればいい。それに対してマラソンは動作に42.195キロの距離があり、ルールのある競技。タイムなどを数値化できるので、評価や達成感にもつながるのは事実だけど、あくまで、ランニングの延長にあるイベント的なものと捉えたら分かりやすいかと。
坂 なるほど。違いがはっきりと分かりました。
M 明確になって良かったです。でも、最初にお話したように、どこかでランニングはマラソン的な要素がMIXされた考え方がまだまだ根強いんです。それは、学生時代の持久走での苦しかった経験や、走るのが得意な人がするものというイメージが強いからなのではないでしょうか。やりたいか、やりたくないかといわれたら、後者のネガティブなイメージだったり…。
坂 全くもって、その通りです。
M 今日私からお伝えしたい事は、自分のネガティブなイメージを一度全部クリアにしてほしい。本来のランニングをした時に自分自身にどういう反応が出るか感じて欲しい。それは、走った後の爽快感っていいものだなぁ!気持ちよく眠れた!ご飯がいつもより、すごく美味しかった気がする!など。そんな事を感じられたら自然と続けられるのではないかと実感しています。事実、私にとってランニングは好きなことで、やらされて走ったことは一度もないかな。
坂 月間300キロ、ほぼ毎日走っているMIDORIさんが、やらされて走ったことが一度もない、好きなこと、と言い切れるのがすごいことですね。逆に言えば、それだから続けられる、とも言えますが。その想いを継続できる秘訣は何なのでしょう?
M 究極のことをいうと、ランニングを好きでいることの大前提は自分を好きでいてあげること、これにつきると思います。自分のことを愛おしく思うこと。それは自分の顔がかわいいとかそういう事ではなくて、例えば無理をしている自分がかわいそう…とか、とにかく気にかけてあげること。自分で自分のいい所を見つけてあげる。やったことに対して叱らない。今回は、ここを頑張ったじゃん!そう思うことで自分の価値が日々上がっていく。先週は週1回だったのに今週は週3回もランニングの時間を作って走れた、すごい!なんだか顔つきが変わってきたんじゃない?スタイルもよくなってきてない?自分と少しずつ向き合えるようになってきたんじゃない?など。ランニングを通して外側から自分を見つめてあげる習慣をつける。他の誰よりもまず自分を認めてあげることが、実は自分の大満足につながっていくし、ランニングを好きでいることにもつながってくるように思います。
坂 なるほど。自分自身が一番のサポート役になって、外側から見つめてあげたら、より心地がいいランニングができそうですね。
M そうですね。この大前提を頭の片隅に入れておきつつ、加えて大事な事があります。それはランニングの内容について。初回は全部歩いてもいいけど、身体に負荷がかからないから、歩く中に走ることを入れてみることが大事。5分歩いて、5分走って、5分歩いて、5分走って、5分歩いて終わり、みたいな。走るペースは息がぜいぜいしない程度、苦しいと思わない所で…というメニューを2,3回試してみて、調子がいい時に5分走る所を8分にしてみる。人にはトレーナビリティ(トレーニングすることによって成長していく能力)があるから、ちょっとずつ負荷を増やしていくことで、大きな負荷に耐えられる能力がついてくるはず。
坂 トレーナビリティ。私たち人には素敵な能力が備わっているのですね。ちなみにランニングすると時のシューズはランニング用のものを用意したほうがよいのでしょうか。
M 最初はありもので。もっとやりたい、走りたいと思ったら自然とシューズも欲しくなると思う。モチベーションを上げる起爆剤がシューズでもいいと思いますよ。
坂 いいですね。ただ私は形から入るタイプなので、最初に購入してしまうかも知れません。案の定、この日の為に早速シューズを新調しました(笑)。今、MIDORIさんのお話を聞きながらかなりモチベーションが上がってきています。
M それはよかったです。ランニングをスタートすることが出来たら、そのモチベーションを継続する秘訣を知っておくことも重要です。それは、自分のタイプを知るということ。目標をしっかり立てるきっちり型のタイプの方はあえてランニングの目標を立てすぎない。出来なかったときに罪悪感を抱きやすいし、それがモチベーションを下げてしまったりする原因にもなるから、計画はほどほどに。それに対してもともと3日坊主で続かない人は、あえて計画を立ててみる。3日以上走らない日をつくらないようにしようとか。ランニングをする時の自分なりのルールを設ける。それを踏まえた上で、ランニングは趣味の世界ということも忘れずに。体力ありきでエネルギーを使うものだから、仕事、育児などを犠牲にしてまでやる必要はない。楽しくランニングが生活の中に取り入れられるのが一番。
坂 タイプを知る…なるほど。MIDORIさん、私ランニングしたくなってきました。ランニングイベント開催しませんか?ランニングデビューの日がイベントの日だったらなんて心強いのでしょう!一気にモチベーションが上がる気がしています。辻堂海浜公園辺りでいかがですか?
M 是非。ゆるい感じで。イベントに参加した方の日常に入るように。
坂 ありがとうございます。初めての方、大歓迎のランニングイベントですね。プラス、地域の人達との交流会のような場になれたら嬉しい。仲間が増えればランニングの楽しさも増えますしね。楽しみです!
~MIDORIさんのランニングを始める、継続する為の知恵~
1.ますは走る日を決め、靴を履き、外に出る
2.ランニングはただの動作。自分が気持ちいいペース、時間、距離で走ろう。
3.ランニングを好きでいることの大前提は自分を好きでいること。外側から自分を観察して認めてあげよう
4.ランニングを始めたら、自分がどんなタイプなのかを知ろう。知った上でランニングを生活の中に負担のない範囲で取り入れよう
5.ランニングは、自分にちょっとの負荷をかけていくことを意識しよう。トレーナビリティでいつの間にか長時間走れる身体に。
~編集後記~
MIDORIさんとインタビューをさせていただいていた時に、
~マラソンと人生は似ている。人生7割のペースでやっていきたい~
という言葉が印象的だった。私はいい言葉だなとは思うものの、違和感を覚えていた。
100%ギリギリのところまで頑張らないと、チャンスがあった時につかめないのではないか。
チャンスを逃してしまうのではないか。
残り3割頑張っておけば、チャンスをつかめたかもしれないのに…。
そんな後悔を後からすることになってはしまわないのだろうか。
だから、この言葉に怖さを感じていたのだ。
インタビュー後の雑談の中で、思い切ってその疑問を投げかけてみた。
すると、MIDORIさんは次のように答えをくれた。
常に自分を信じていればいい。ギリギリで余裕のない所でチャンスをつかんでも結局は上手くいかない。
それはつかんだとしても結局はチャンスではない。
今の自分を見つめ直したら、いつがチャンスなのかは自然と分かる。
いつも自分で手を伸ばそうとしたら、身が持たない。
落ち着いて。次くるよ!そう思っていればいい。
その言葉を聞いた瞬間、私自身、とても肩のチカラが抜けたのが分かった。
人生7割でいこう!自然とそう思うことができた。
そしてMIDORIさんとお会いするときに、揺ぎない芯と安定感を感じるのは、
自分を信じる想いの強さからくるものなのだと改めて感じることができた。
それにしても、ランニングを好きでいることの大前提に、自分を好きでいること、というのは目からウロコだった。
ランニングのお話を聞いていたつもりが、
いつの間にかこれからの生き方、考え方のヒントを教えていただいていた…そんな気がしている。
MIDORIさん、ありがとうございました。
ランニングイベント、私が一番ワクワクしています。今からとっても、楽しみです。
MIDORIさんプロフィール
湘南辻堂在住。NIKEランニングアドバイザー。自身の体験をもとに的確で親しみやすいランニンスタス イルを指導。フルマラソンのベストタイムは2時間59分。また、100キロウルトラマラソンでの優勝経験
をもつ。管理栄養士の資格も活かし、栄養面におけるサポートも行っている。著名人のランニングトレー
ナーも務め、マラソン完走、記録更新に導いている。現在、大塚製薬アミノバリューにてランニングコラ
ム連載中。
写真撮影 竹之内健一 (AOZORA PHOTO OFFICE代表 )
インタビュー・文 坂根美季(Smile33主宰) 取材日:2014.9.16/UP日:2014.9.30
最後に…
第2回目のインタビューがUPされました。素敵なお話を沢山していただいたMIDORIさんはじめ、素敵な写真を撮影していただきました竹之内さん、本当にありがとうございました。それにしても、早朝の辻堂海浜公園がこんなに空いていて気持ちがいいものだとは知りませんでした。これからの辻堂でのランニングがますます楽しみです。
坂根美季の おしえて!!
Vol.1 赤城美知子さん
(料理家・野菜料理とお菓子の教室 toricot主宰)
テーマ 素敵な空間の作り方
私が赤城さんに出会ったのは、今から約1年前。
鎌倉の二階堂(当時)にある自宅教室に参加させていただいたのがきっかけ。
ダイニングの窓から見える、庭の景色、テーブル、器・・・。
なんだろう。この気持ちいい空間は。
この空間まるごと欲しいと、ため息が出た。
何か、赤城さんなりの考え方・コツがあるのかも知れない。
料理家として、センスあるその空間が雑誌で掲載されることもしばしば。
あれこれ知恵を伺いたいところ。
赤城さん、おしえて!!!
坂根美季(以下坂)最近、3回目の引っ越しをされたとか?ダンボール片付きました?
赤城美知子(以下赤)おかげさまでようやく落ち着いてきましたよ。
坂 前回と前々回(二階堂・極楽寺)のお家と今回の大町、計3回の鎌倉内での引っ越しです
が、家の特徴として違う所はありますか?
赤 前の2つは古民家で、今回は広くて近代的なお家。雰囲気が全然違うよ。
坂 引っ越して最初に行動したことは?
赤 前のお家で使用していた器を置いていた棚を解体したの。
坂 え~!(驚)あの素敵な和食器たちを置いていた、あの素敵な棚を、ですか?
これまた何で?
赤 そうそう、あの棚。古民家な感じにはすごく合うのだけど、今のお家にはなんだか合わないなって。一度棚を配置して、じーっと見て、合わないなと思ってもう一回じーっと見て、やっぱり違うなと思って。そしたら、信じられないけど、ドライバー持って解体している自分がいた(笑)
坂 驚!その、何ていうか、いさぎよさっ(笑)思ったら即行動できてしまうのがすごい。
赤 うん。本当に自分でもびっくり。でも空間に似合わないものは使わないし、置かない。
いいものが見つかるまでは、買わない。それとね、前使っていた和食器たちもなんだか合わないのだよね。
坂 えっ。その棚にあった作家さんものの素敵な和食器も今のお家には合わないの?
赤 うん。合わない。まだどういうものがいいのかは、分からないけど、こてこての和食器は買わなくなると思う。
坂 そうなんだぁ。すごく意外な答え!ずっと、お気に入りのテイストとしてその後も器を集めていくのかなと思っていたから。(手放すのが早い。素敵なものでもどこかで、ドライ。執着がない気がする。)
その他に、素敵な空間にするために、いつも心がけていることってある?
赤 家で空間を考える。その上で家具なり、食器なり、小物を考えていく。トータルのバランスが大事なのだと思う。
後は、余分なものは手放すようにしているかな。気持ちの上でも。いつも新しいものが入ってくるスペースは確保しているかな。心地よさを大事にしてる。
坂 なるほど。だから赤城さんの自宅の空間は統一感があるんだね。そして赤城
さんの惜しみない行動力!!
私は、2年前に、湘南に住むって自分で決めて地域に関してはすごく満足しているけ
ど、住まいの空間だけは、なんだか自分のセンスに自信がなくて選べない。まだ自分
の好きが分かっていない気がして。仮に家具とか器を購入しようとしても、もっと良い
ものがあるんじゃないか、この先好きなテイストが変わってきたらどうしようとか先の
心配をしてしまって、なかなか買えない。最近は物が一向に増えない。
でも、好きなものを見つけてこだわりのものなのって言いたい自分がいる(笑)
赤 そうかぁ。でも、それって、空間や物に関して選んでないのを選んでいるんじゃない?
坂 ・・・なるほど。選んでないのを、私は、確かに、選んでいるね!(笑)初めての考え方。目からウロコ。
赤 そうだよ~。選んでいるよ。まずは自分でいろいろ試してみればいいんだよ。
家具の配置変えるだけでも違うしね。あっでも自分がやりたくなったときに、ね。
あとは、(配置を)変えなくても、何かの時にこういう風にしたいな~ってイメージするだけで空間がよってきたりするものだよ。素敵なお家を沢山みることもおすすめっ。
坂 なるほど~。まずは私、空間を、選んでみる。考えて、行動してみます!今日は本当にありがとう。
素敵な空間にするためのヒントをたくさん頂きました。赤城さんの新しいお家での教室もいかなくちゃ。
赤 是非きて~。本当に前の教室と雰囲気違うからっ!
赤城美知子さんの知恵 ~素敵な空間の考え方のコツ~
1.家から空間をイメージしてそのトータルバランスで家具・器などは選ぶとよい。
2.心地よさを大切にする。似合わないものは使わない、買わない。
3.余分なものは手放す。気持ちの上でも、常に新しいものが入ってくるスペースを確保しておく。
4.先のことではなく、常に今の空間を満足させることを考える。
編集後記
いつか、引っ越しをして不要なものになるかもしれない。
いつか、好きなテイストが変わってしまうかもしれない。
空間についてあれやこれや先の事を考え、どうにも動けなかった私の不安は、
インタビュー後不思議と無くなっていた。
無くなっていたというよりは、不安を手放すことができた。
そして、部屋の空間について具体的に考えるようになっていた。
ダイニングテーブルのレイアウトを変更。
玄関用の花瓶、来客用のマグカップなど、ずっと、迷っていたはずの生活雑貨。
今の自分が満足するものを基準にしたら、サクサク選択することが出来るようになった。
何か手放すという考え方は、逆にいえば、優先順位がわかるということなのかも知れない。
そして、赤城さんは、自分の環境も、好みもいずれ変わっていくかもしれないということを前提にしている気がした。その覚悟があるから、今を楽しめる。そこにとても朗らかさと、自由とそして自立を感じたのでした。
インタビュー後の雑談の中で、
“新しいお家でね、玄関のドアを開けたらさりげなく見える観葉植物の鉢を、今探している所なんだよね~。
ちょうどいいものないかな~”とみっちゃん(赤城さん)。
なるほどな~そうやってモノを選んでいくんだな~。トータルのバランス。。
次回教室にお邪魔させて頂くときには、その鉢がみつかっていたらいいな。
さりげなくチェックする楽しみも、できたのでした。
さいごに・・・。
赤城さんをはじめ、写真を撮影していただいた竹之内さん、27 COFEE ROASTERSのオーナー葛西さん、その他みなさまのご協力のもと第一回の記事が無事に完成致しました。ありがとうございました。
取材協力 赤城美知子
レストランのレシピ開発や、鎌倉にてマクロビオティックの理論をベースにした
野菜料理とお菓子の教室 「toricot」を主宰するなどして活動している料理家。
ご本人はいたって気さくなお人柄。今で充分満足だし満たされている…
インタ ビュー中での言葉が印象的。鎌倉での暮らしをゆったりと満喫中。
取材写真 竹之内健一(AOZORA PHOTO OFFICE)
取材場所 27 COFEE ROASTERS
インタビュー・文 坂根美季 取材日 2014.4.04 UP日 2014.6.24